Yahoo! Japan インターネットクリエイティブアワードで金賞を受賞した話
今年のゴールデンウィークにこのブログの著者二人とその妻二人で作ったアプリが、幸運にもYahoo! Japan インターネットクリエイティブアワード アプリ部門(一般)でゴールド賞を受賞しました。
私事ですがクリエイティブアワードは学生の頃から追っかけていたり、新卒社員として主催元のYahoo! Japanさんに勤めていたこともあり、近い距離で開催されている様子を見ていたので今回の受賞は嬉しいばかりでした。
さて、このブログを書き始めたころとアプリをリリースした時期は大体一緒なのですが、何故か今まで本ブログでほとんど言及していませんでした。 せっかくの機会なので私たちが作ったアプリとその過程と今年の総括を垂れ流し話したいとおもいます。
Samurai Answer
アプリの名前はSamurai Answerといいます。
Samurai Answer(サムライアンサー)は、日本に興味がある、もしくは日本を訪れようとしている外国人が日本のディープな文化を楽しく知ることができるクイズアプリです。 アバターを育てながら自分が興味を持っている分野のクイズを解答し、市販の旅行誌では手にはいらない日本の情報を手にすることができます。 訪日前にプレーすることによって日本を訪れることが更に楽しみになることまちがいなしです!
以前から、日本の文化を海外に向けて発信できる何かを作りたいという話が私達の中で出ていました。最初は観光ガイド的な物を作れたらという話でしたが、そんな物を作ったところでLonely Planetにはどうしても叶わないし五万と同じようなサイトはあるので別の表現方法をさがしていました。
紹介動画
クイズ形式にした
情報の提供形式をクイズにした理由は、私が前職でクイズのアプリを作っていたからというのもあるのですが、日本の文化に詳しくないユーザーがクイズを解きながら「そんなことはないだろ!嘘だろ!」「Why⁉︎ Japanese people(パクリ)」と思ってくれる、そんな小さな驚きを提供しやすい表現手法だと考えたからです。その結果として、このアプリを使ったユーザーが実際に訪日する際にここで手に入れたちょっとディープな知識を元に楽しい旅程を過ごせればなと思っています。
こんなイメージ
ゴールデンウィーク前の話
GW中の話をする前に先にGWに入る前になにをしたかを話しておきます。
連休にはいって、いざ開発を始めるとなった時に
「外国人観光客が、楽しめるクイズアプリ」
ということしか決まっていなかったら、せっかくの連休初日〜数日を、議論でほとんど潰してしまうことになります。 まとまって時間の取れる連休中はできるだけ作業に当てたかったので、GWが始まる前に以下のような下準備をしておきました。
- リーンキャンバス作成
- アプリのデザインのイメージ共有
- 大まかなUIのイラスト作成
- ワイヤーフレームの作成
- ゴールデンウィークから参加するデザイナーsに思想を語るための資料作成
- 訪日客がどんなことに興味があるかについて調査
この辺まで視覚的に意思の統一を図れるツールを用意しておけば、開発の開始時に後追いのメンバーとも円滑に思想の共有を行うことができ、また、具体的で有意義な改善点や反論をもらうこともできます。日曜プログラミングの延長とはいえ、みんなでやるからには意思を統一してやるべきだし、最初の段階で企画〜仕様を固めておくことにより船頭多くして船山に登ることを防ぐことができます。
ワイヤーフレーム
表示内容やインタラクションの概要もここに。
カラーチャート
イラストレーターとUIデザイナーが分かれていたので色彩の統一はこれをもとに。
アンケート www.ie-kau.net
日本の何に興味があるかアンケートをとったり。
利用技術の話
- フロントエンド
- Swift
- バックエンド
- Ruby(Rails)
- インフラ
- Heroku(1000円程度/月)
フロントエンドとバックエンドをパラレルで開発できるように、これでスタブサーバーを立てて実装していました。めっちゃ便利です。
ゴールデンウィークの話
GWの初っ端は、各々の家などで作業しつつ終盤はいつもお世話になっている海が見えるアトリエこと、カナヤベースさん(2015年で閉鎖)での開発を行いました。
こちら2年前からお世話になっておりフレンドリーなスタッフと潮騒を聞きながらの開発が非常に心地よかったのですが、今年で閉鎖ということが非常に悔やまれます。今後どこで開発していいのやら露頭に迷っている次第でございます。
昨年の写真
GW中に最も心がけたことは
肝心な部分が動くものを最速で作る
これに尽きます。サーバーはモックでもいいので、一通りのサイクルを手早くあげることにより改善点や面白くない点を早めに見つけてシューティングすることに捧げていきました。加えて、動くものを見ながら開発すると全員のモチベーションアップにもなります。
この時点でプログラミング、デザインに加えて並列でコンテンツの作成も進めてもらっていました。クイズの問題はネイティブの英語表現が外せないということで翻訳をお願いしたりもしました。
詳しくはこちら
GW後〜リリース
GW終わってその後も細かいインタラクションを含むUIの直しやセキュリティ周りの修正を行いながら6月半ばぐらいに初回の申請を行いました。その後3回ぐらい審査落ちを食らいつつなんとかリリースにこぎつけました。
審査落ち理由
- iPadでのUIがずれている
- ヘッダーをタップしたら落ちる
- このアプリではユーザー情報をとる必要がないのに、Facebookログイン機能が付いている
3ですが、アプリ内アバターで性別を取って男の子アバターと女の子アバターを出し分けているのでログインしてユーザー情報を取得することは必要なのだと再三訴えましたが通じませんでした。認証付きのアプリを作ったのは初めてだったのでこんなものなのですかね。しかたがないので、匿名ログインを作って回避し、なんとかリリースにこぎつけることができました。
匿名ログインの人が多いから気づいてないかもですが女の子もいますよ。
そして燃え尽きる
こっからがやっちゃったのですが、リリースするだけして疲れ果てちゃいましたorz
宣伝のための施策を全くしなかったのかといえばそうではないのですが、明らかに作っている時に比べてその苦労と思考時間が少なかったです。12月の反省会では、作った先まで情熱が続かなかったのは大きな問題だったねと言う話になりました。
時間は流れてアワードへ
リリースした段階でデザインや、アプリ自体の出来には自信があったので、しれっとクリエイティブアワードや他にもデザイン系のアワードに幾つか応募していました。
その結果、表題の賞がもらえたところにたどり着きます。
トロフィー
豪華な食べ物
反省
賞はいただけたものの、シェア数やそれに伴うインストール数が伸びず悔しい思いをしたのでここからは反省です。
要所要所においてユーザーの行動や感情への考察が浅いままリリースしてしまった
これは前職時代の先輩からよく言われていたことなのですが、シェアボタン一つ設置するにせよ、「そこにシェアボタンを置いて何が嬉しくてユーザーがツイートするんだっけ?」ということを各所において考えなくてはなりませんでした。それをすっ飛ばして作る側に熱中してしまいました。大きな広告費を持っていない場合、ユーザーの獲得をシェアによるバズりに頼ることになるのですが、そもそも、シェアする理由や起点が浅慮なまま開発を進めていました。
頭ではわかっていてもいざやってみると作る方に目が行きがちになってしまいがちなので開発中でも時々振り返りたいものです。
プラットフォームってiOSで良かったんだっけ?
私がiOSアプリを作ってみたい一心だったのでAndroidという話題一つ出てきませんでした。例えば韓国だったら、Androidのユーザーがほとんどという話なのでマーケットを海外に持って行くなら確実にこの部分の調査はするべきでしでした。
そしてもしかするとiOSほど審査が厳しくない分、デリバリーという観点でももう少し早いリリースができていたかもしれません。ましてやブラウザでの実装だったら。。
視野狭窄でした\(^o^)/。
アプリにおけるMPV(minimum viable product)を読み間違っていた
Webサービスとの混同
検索結果で戦うサービスを作っていると次の感覚に陥りがちです。というか陥ってました。
リリースして人が来たら徐々に改善していこう
よほどの広告資金でもない限りアプリにおいて人が自然流入してくれることなどありませんでした。
更に言うと、一度きたユーザーを満足させきれなかったり次に来る理由を与えられないかぎりその場限りの一見さんとなってしまい二度と来てくれないと考えた方がよいです。この辺はアプリにおける経験不足がもろに出てしまったと深く反省しています。
つまるところ次にアプリを作るときはWebサービス開発におけるこの辺の考え方を捨ててかかるべきだと学びました。どうやって人を呼ぶかまで考えるべきだと。
- 自然流入
- AISAS
Notification? 考えてなかった(・ω<) テヘペロ
前述の話にも繋がるけど本来はリテンションにかなり気を使わなければならないし、どうやって二回目開いてもらうか?って議論が省かれていました。その結果の最たる方法であるNotificaionにつて、本来は"ありき"でアプリの設計をすべきことろを、考えていなかったと言うのも失敗ですね。
アプリのログの仕込み方を誤った
普段ウェブサービスやらアプリやらを作るときはGoogle Analyticsを入れログが取れるようにしています。しかし、今回はもう少しいいログ解析ツールがあるのではと思いMixpanelを入れたのですが、結果としてログの取り方を誤っており定常的にログを見ると習慣を失ってしまいました。また、今までに作ったプロダクトが全てGoogle Analyticsに集約されていたためMixpanelが正しく実装されていても、ログを見に行く習慣から外れていた可能性はあります。
ログについてはいつも実装の最後の方になってしまい焦りのうちにやっているので、もう少し丁寧にやるべきでした。(会社でもね)
まとめ
今年はそれなりの規模のアプリを作ることができたし、開発チームについて、そして、作ったアプリにおける成功点・失敗点など学べることが多くありました。デザイナーsのお陰ですが、賞も頂けたしハッピー!
この手のことはやってみないかぎり学べないので、とにかく作って出してみて使ってもらってみてなんぼかなと。
最近、会社やプライベートでインターネットに関わるものづくりを続けている結果か、ユーザーや開発仲間に長く愛されるような物を作ってみたいという気概が強まっています。
ここからはエンジニアとして僕の話になってしまうけど、ここ数年の経験を経て、とにかく守備範囲(サーバーとかフロントとかインフラとか)を広くすることと、誰よりも早くプロダクションレベルの物を開発できることを目標にやってくのも一つのエンジニアとしてキャリアかなと思っています。それは、思考ならぬ試行スピードを速くして速い失敗と速い振り返りを多く重ねられることで次回、次々回とより洗練されたプロダクトに近づけるのではないかという考えに基づいています。
そのためには、企画者やデザイナーの考えを表現しきるなど、エンジニア以外の職能の人にさらなる推進力を得てもらうためにも全方位に技術を磨くことが必須となります。さらに、自身でプロダクトをより良くしていくための深い思考と知識もつけていかなければならないと痛感しています。茨の道へ踏み込んでいる感じもありますが、ありきたりだけど、作ったサービスを使ってる人が喜んでいたり、一緒に作った仲間が売上やらアクセス数なんかをみて一喜一憂しているところに主体的に加わることができるとそれはそれで茨の道を歩む醍醐味なんだよなとか思います。
この記事を書き始めた時点では、「効率のいい日曜プログラミングのやりかた」ぐらいのことを話せたらいいかなって思ってたんですが、またしても、まとめで話が大幅にずれてしまいましたね。まぁ、年末の振り返りということでご容赦ください。
さて、来年も一年、かちこんで行きましょう!
良いお年を!(๑•̀ᄇ•́)و✧オラッオラッ